脈状
東洋医学の診察法~脈状
病脈の分類疾病により変化した脈象で主なものに28種ある。
脈位『浮、沈』・速さ『遅、数』・強弱『虚、実』等から分類できる。
以下は常見するもの。
浮類
軽く触れて得られる脈象で、水に漂う木のようで、強く押さえるとかえって無力に感じる。陽、表に属する。
浮脈 | 軽く触れ拍動を得、強く押えると弱くなる。主病は表にある。外感表証。 |
濡脈 |
浮いていて細く軟らかい。極めて軟らかい。気血不足。 |
洪脈 | 波が押し寄せるようなイメージの大きく有力な脈。気分の熱が強いことを示す。 |
こう脈 |
浮大で中空、葱を押さえているようで、出血のとき。 |
革脈 |
最初は浮大で速く押すと虚。太鼓の皮按すような感じ。亡血、傷精。 |
散脈 | 浮、散にして無力、拍数ははっきりしない。元気離散。 |
沈類
沈脈は肌肉の下、骨の間にある。浮を取って軽く触れるとわからないが、重く押さえると触れる。
沈脈 | 軽く取っては分からず、重く取って初めて触れる脈。裏証、気滞を主る。 |
弱脈 | 沈で細軟、押さえると絶えそうで、気血不足の脈。 |
伏脈 | 沈脈が更に進んだもの。強く押さえて初めて触れる。気血閉塞あるいは激痛の場合。 |
牢脈 | 強く取って弦大で長の感じ。中、浮を取っても触れない。寒極腹痛あるいは*ちょうか。 |
遅脈類
脈拍が緩慢で一息四至〔60回/分〕に満たない脈。
遅脈 | 一呼吸に脈拍が4以下の場合。有力のものは寒盛、無力のものは虚寒。 |
緩脈 | 一呼吸の脈拍が4ぐらいで、ゆったりと落ち着いていて、浮でも沈でもないものは無病の脈である。湿邪 |
渋脈 | 脈拍は細く遅く、流れは渋い。気血両虚あるいは気滞血淤の証。 |
結脈 | ゆるやかな脈で、時々止まる。主に陰寒や積滞内阻による。不正脈 |
代脈 |
ゆるやかで時々止まるのは結脈と同じだが、止まるのに定まった規則性がある。臓気の衰退 。 |
数脈類
脈拍が速く、一息五至〔90回/分〕以上の脈。特徴は脈が速い。
数脈 | 一呼吸6ぐらいの脈拍。熱証である。小児や運動後の数脈は正常な生理現象である。 |
疾脈 | 一呼吸6~7の脈拍、陽盛極陰気竭、元気脱の危象。 |
促脈 | 速くかつ中間で止まる。止まる場合、結脈と同じように止まる間隔に決まりがない。気血阻滞または痛腫。 |
滑脈 | 脈拍はお盆にのせた玉が転がり流れるような状態。痰、食、実熱である。女性が健康で滑脈の場合は妊娠を考える必要がある。 |
動脈 | 脈拍は速く、関部だけ触れ、寸、尺はない。ちょうど豆を押さえたような状態。痛と驚の脈 |
虚脈類
浮、中、沈、でともに拍脈が細くて、しかも消極的で力のない脈。
虚脈 | 無力で按じても空虚な脈。虚証一般にみられる。 |
細脈 | 沈を取ると脈は糸のように細く、軟らかく弱い。気虚。 |
微脈 | 浮を取ると、極めて細くやわらかで、深く押さえるとあるようなないような脈。気血両虚。 |
短脈 | 脈の波動の幅が短く、関部だけがよく触れる。気鬱、気滞。 |
実脈類
浮、中、沈、でともに拍脈が大きい、しか積極極的で力のある脈。
実脈 | 浮、中、沈すべてを取ってもよく触れ、大きく長く有力な脈。実証火盛 |
弦脈 | 力強く、緊張していて弓の弦のような脈。肝病、諸痛、痰飲などを主る。 |
緊脈 | 緊張してピンピンし、有力な脈。寒邪、痛が現れる。 |
長脈 | 脈の波動の幅が長く、ちょうど竹竿に沿ってめぐるような状態。実証、気逆火盛。 |