パーキンソン病の鍼灸治療臨床例と考察

過去のパーキンソン病の臨床例:
1998~2013年までの15年間、大勢のパーキンソン病の鍼治療をしてきました。当鍼灸院に通院でいたパーキンソン病の患者を統計してみました。男性6割、女性4割です。、中に若年性 パーキンソン・パーキンソン症候群2割がいます。年令39~78才。パーキンソン病と診断されて1ヶ月から最長10年です。3月~1年の期間に一週間一回~二回ベースで鍼灸治療をしました。中に完治する方はいませんが、進行を遅らせたり、主な症状を改善したりしました。有効率は85%以上です。薬を完全に飲まなくても症状が進まずに済んでいる例は15%前後、薬の量を減らしても症状が悪化せずに済んでいる例は約30%前後、残りの方は薬は併用しているが針灸治療を始めて動作がスムーズになった、または薬が切れても症状がそれほど出ないという例は30%となっています。

H.Hさん 68歳女性 
平成9年手足に力が入らなくなり、同11年左側の手足にふるえが出始め、翌年には右側もふるえだした。病院でパーキンソン病と診断され内服薬を処方される。平成12年11月初診とき、「パーキンソン病」と言われ相当ショックを受けたらしく落ち込んだ表情でやってきた。睡眠は目覚めやすく、左側の手足にむくみが出る。なるべく薬を飲みたくないという本人の強い希望があり、週2回のペースで通院する。鍼灸治療が合っているようで、すぐに睡眠も取れるようになり、むくみも循環がよくなることにより改善された。「静止時は震度3くらい揺れている」というがそれでもパーキンソン病の薬を服用しないで過ごせる方を選択している。薬を飲めば諸症状が抑えられるが、逆に症状を少し我慢することで薬を飲まないでいられるという好例を見させてもらっている。平成17年5月現在、週1度来院しているが最近は初診の頃に比べ精神的にかなり落ち着き「2kg体重が増えた」と言っており、見た目も明るく元気である。

I.Wさん 67歳女性 
週に1度家族の方の付き添いで遠方から車で通って来られる。10年ほど前から「手先の細かな仕事ができなくなってきた」という。平成9年に「パーキンソン病」と診断された。一番辛いのは薬が切れるとふるえてしまい、足がつりそうになること。平成14年10月の初診とき、姿勢は前傾気味で歩き出すのに時間を要する。また右でん部に疼痛を訴えるときがある。以前に右大腿骨を骨折したことがあり、それが原因ではないかと家族の人が心配していたが、直接的にはやはりパーキンソンの症状である筋固縮が古傷の痛みを増強していると考えられる。ただでさえ日常動作に不自由している上に、痛みまで出てしまうのは大変である。この場合は鍼灸で痛みを緩和または除去するように併せて治療して、パーキンソン病の患者のQOLをが少しでも向上できるようなアプローチをとっていく。

K.Mさん 65歳男性 
平成7年6月、最初は本を持つ手が震えだし、翌年3月歩行時左足を引きずるようになり、さらに左上腕部の固縮も出始める。平成8年にパーキンソン病と診断された。翌年5月よりパーキンソン病の薬l-ドーパ製剤を1日2錠飲み始めるが、症状は緩やかに進行し、徐々に薬の種類(ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬)と量(4錠、7錠/日)が増えていく。初診は同15年2月で所見はふるえ・固縮・すくみ足・動作緩慢など。鍼治療後は筋肉がほぐれ動きやすくなる。日によって体調の変動があり、良い時は動作もスムーズで一人で歩くことができ、表情も柔らかい。薬との相互作用もあるが、本人は「症状は平衡状態」と言っている。性格的に几帳面なところがあるが、コンスタントに週1回の鍼灸治療を受け、今のところ転ぶこともなく調子はいいようである。

I.Tさん 66歳女性
平成4年より右手足のふるえが始まり、パーキンソン病との診断を受ける。初診時、特に脚のふるえにより歩きにくくなるのが辛い。ほかの症状は目覚めやすい・たまにめまいがする・頭重感・疲れやすい・便秘気味、等がある。鍼灸治療としては、自律神経や循環を調整してこれらの症状を軽減させ、そして筋の固縮を和らげて歩きやすくすることを主眼に行う。薬物療法は個人差もあるが、服用年数が長くなると効く時間が短くなったり、効く程度がかるくなったり、あるいは10年以上だと効きが悪くなったりすることがある。その場合に鍼灸と組み合わせて治療を継続すれば、薬の量を維持できたり、効きを持続させたりなど、比較的よい状態を保つことができる。この方も薬が切れると振戦が強くなるが、パーキンソン病の薬が効いている間は落ち着いており、時間はかかるが自分ひとりで大体のことはできている。

K.Kさん 57歳男性 
平成11年5月頃より左の手足にふるえが出始め、翌年9月からは右側にもふるえが見られるようになった。平成12年10月に病院でパーキンソン病との診断された。平成15年6月の初診時、歩行はそれほど問題ないが、カルテの記入文字は小字、口調も小声で単調となっておりパーキンソン病特有の症状を呈している。仕事の方はまだまだ現役で海外出張も頻繁にあり、会議でのスピーチ時などは緊張してふるえがひどくなると言う。出張で治療の間隔が開くと疲れもたまり症状が増強するが鍼灸治療を受けると「本当に身体が軽くなる」ようで毎週1回通っている。

パーキンソン病の鍼灸治療に考察

パーキンソン病の鍼灸治療に来られるのは30~40代の働き盛りの方から70~80代の方までいますが、どの方も頭脳・意識レベルは一般の方と何変わりなくはっきりしているのに、自分自身の身体を思うように動かすことができない、または勝手に動いてしまうという大変辛い思いをしておられます。パーキンソン病は症状が進行すると一人で行動できないために家族に対して申し訳なく思って自分を責めたりする時もあると聞きます。パーキンソン病の治療法が確立しておらず薬物療法が主流でそれらと一生付き合うことになる、というのが現時点での実際ですが、完治することが難しくても今現在の状態を少しでも維持、継続させ前向きに生活できるようにする手段があれば、積極的に活用した方がいいと思います。多くの症例からみるとパーキンソン病の鍼灸治療は、完治するのは難しいものの、総じて良い効果をもたらすことができると思います。パーキンソン病の主症状以外の起立性低血圧(めまい・立ちくらみ)や便秘などの症状に対しても西洋薬をさらに飲んで身体の負担を余計に増やすこともなく、また副作用の心配もなく鍼灸で治療することができます。

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