パーキンソン病と鍼灸
パーキンソン病のハリ治療~翁鍼灸治療院
パーキンソン病とは
パーキンソン病は1817年James Parkinsonによってこの病気が始めて記載されてました。1892年Charcotはこの病気をパーキンソン病と名付けましたパーキンソン病は中年以降になって中脳の黒質と大脳の基底核と呼ばれる部分の神経細胞の変性によって起こる疾患です。パーキンソン病になると安静時の振戦 ・ 筋の固縮 ・ 動作緩慢 ・ 姿勢保持障害などパーキンソン病症状がおきてきます。
パーキンソン病の病因
パーキンソン病は脳の中の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因です。パーキンソン病はここの神経細胞は、ドーパミンという神経伝達物質を線条体という部分に送っています。また線条体にはアセチルコリンという神経伝達物質もあり、ドーパミンとアセチルコリンをもった細胞が線条体でバランスよく働き、筋肉に運動の指令を出しています。
パーキンソン病は黒質の神経細胞の減少により、線条体に十分にドーパミンを送れなくなり、その結果、ドーパミンとアセチルコリンのバランスが崩れ、これがパーキンソン病の色々な症状の原因と考えられています。また、この細胞の中に多数のlewy小体が出現してきます。病の病理は黒質の変性ですが、なぜ変性するか判っていません。西洋医学ではドパーミンを使ってパーキンソン病症状をある程度改善できますが、パーキンソン病の進行を止めることはできません。
パーキンソン病の発病率
パーキンソン病の発病は年々増えてきています。いまおよそ2,000人に1人(65歳以上では500人に1人)の方がパーキンソン病に罹るという発病率の高い病気で、パーキンソン病の患者さんは年をとるに従い増える傾向にあります。中年以降に発病するパーキンソン病の患者数の多い病気です。パーキンソン病は、10、20代に発病する若年性パーキンソニズムを除いて、普通は40~50歳以降に発病し、ゆっくりと進行する神経変性疾患です。
当鍼灸院でのパーキンソン病針治療について
パーキンソン病の鍼灸治療。当針灸院には大勢のパーキンソン病の患者が各地から通院しています。鍼灸治療の適応症の中でパーキンソン病は当院の得意な疾患の一つです。治療に最も力を入れています。パーキンソン病の鍼治療は高度な中医学専門知識と熟練な手技が必要となります。当院は中医学(中国の伝統医学)の理論に基づいて、パーキンソン病の方にとって常に一番よい治療を提供いたします。当院の院長が長期間の臨床経験と研究で生みだした「パーキンソン病のため頭皮針」の治療を行われています。 また、中国最新のパーキンソン病の鍼治療法を研究し、積極的に取り入れて、日本鍼灸と融合させ、よい効果を上げています。
パーキンソン病は定期的に鍼灸治療を受けることにより、よい効果が得られることが多いです。中国と日本でいままで多くのパーキンソン病の臨床例をまとめてみると、パーキンソン病は鍼灸で完治することはできないものの、症状の改善と進行を遅らせることは可能です。また、パーキンソン病の治療は西洋医学との組み合わせにより相乗効果が認められています。中国国内の国立針灸研究所で頭皮針を使って、パーキンソン病の患者に治療の研究が行われました。結果は、針灸治療はパーキンソン患者の脳の血液循環を改善しました。また、針灸はパーキンソン病に原因がある黒質によい刺激を与えて、ドーパミンの分泌を促進し、パーキンソン病患者のドーパミンの分泌量を数倍にしたことを明らかにしました。パーキンソン病による振戦、筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害など障害の中で特に筋固縮と無動障害に対して鍼灸治療の有効性が高いです。パーキンソン病は病気の進行により転ぶ事が多くなり、転ぶと大けがするのでそれが怖いといわれています。パーキンソン病で転ぶのは筋固縮によるものが多いといわれています。臨床では鍼灸で緊張した筋肉を和らげると同時に、身体のアンバランスによる痛みを鍼灸で改善できます。パーキンソン病は鍼灸治療と同時に筋力強化を図るため他動運動、関節の拘縮を予防するための可動域運動を行うことも大切です。パーキンソン病は発病過程において、自律神経機能が変化を起こすため、鍼灸で自律神経を整えることや免疫力をつけることによって、パーキンソン病の患者の自然治癒力を引き出すのも一つの目的です。パーキンソン病はまだ完治する治療法がない現在では針灸(鍼灸)で頑張ってみる価値があると思います。
当鍼灸院に通院されているパーキンソン病のかたの代表例
- 座っていると自然に身体が傾くようになった。
- 人より遅れて歩くようになる、まばたきの回数が減る
- 手足がふるえる。字を書くスピードが遅くなり、小さな字になる。
- 体の姿勢を変えようとすることがスムーズにできなくなった。
- 筋肉がこわばって、手や足の動きからスムーズさが失われ、固く縮んだようになる。
- 表情が乏しくなった。笑顔がめったに見られない。
- 声がなかなかでできにくいし、出ても小さい。
- つまずきやすい。転びやすい。足をひきずる。
- 背中と肩が異常に凝る。腰痛や足が痛くなる。
- 便秘、排尿障害、立ちくらみ、発汗異常といった自律神経症状がある。
- 気持ちが落ち込む、うつ症状もたまにでる。
- 人と会ったり、外出するのがいやになった。疲れやすい
当鍼灸院ではパーキンソン病に対して鍼灸治療は以下の症状改善が見られます
(個人差や症状がよりますので、すべてのかたに効果が表れるものではありません)
- 歩行困難の改善、特に早期や症状が軽い方に効果が得られやすい。
- 西洋医学の薬などの副作用を軽減する、薬の効く時間が長くなった。
- 振戦の症状が軽減した。
- パーキンソン病の特有の筋肉の緊張による肩・背中の凝りが解消された。
- パーキンソン病による自律神経失調症が改善された。
- 姿勢のアンバランスによる腰痛や足の痺れなどが解消した。
- 足のむくみが緩和された。
- パーキンソン病によるうつ症状が軽減した。
- 家族と一緒にでないと来院できなかったが、一人で通院できるようになった。
- パーキンソン病のかたQOL(生活の質)が高まった。
パーキンソン病鍼灸治療の臨床例と考察
当鍼灸院の何例過去パーキンソン病の臨床例:
H.Hさん
68歳女性 初診は平成12年11月
平成9年手足に力が入らなくなり、同11年左側の手足にふるえが出始め、翌年には右側もふるえだした。病院でパーキンソン病と診断され内服薬を処方される。平成12年11月初診とき、「パーキンソン病」と言われ相当ショックを受けたらしく落ち込んだ表情でやってきた。睡眠は目覚めやすく、左側の手足にむくみが出る。なるべく薬を飲みたくないという本人の強い希望があり、週2回のペースで通院する。鍼灸治療が合っているようで、すぐに睡眠も取れるようになり、むくみも循環がよくなることにより改善された。「静止時は震度3くらい揺れている」というがそれでもパーキンソン病の薬を服用しないで過ごせる方を選択している。薬を飲めば諸症状が抑えられるが、逆に症状を少し我慢することで薬を飲まないでいられるという好例を見させてもらっている。平成17年5月現在、週1度来院しているが最近は初診の頃に比べ精神的にかなり落ち着き「2kg体重が増えた」と言っており、見た目も明るく元気である。
I.Wさん 67歳女性 初診は平成14年10月
週に1度家族の方の付き添いで遠方から車で通って来られる。10年ほど前から「手先の細かな仕事ができなくなってきた」という。9年まで「パーキンソン病」と診断された。一番辛いのは薬が切れるとふるえてしまい、足がつりそうになること。平成14年10月の初診とき、姿勢は前傾気味で歩き出すのに時間を要する。また右でん部に疼痛を訴えるときがある。以前に右大腿骨を骨折したことがあり、それが原因ではないかと家族の人が心配していたが、直接的にはやはりパーキンソンの症状である筋固縮が古傷の痛みを増強していると考えられる。ただでさえ日常動作に不自由している上に、痛みまで出てしまうのは大変である。この場合は鍼灸で痛みを緩和または除去するように併せて治療して、パーキンソン病の患者のqolをが少しでも向上できるようなアプローチをとっていく。
K.Mさん 65歳男性 初診は同15年2月
平成7年6月、最初は本を持つ手が震えだし、翌年3月歩行時左足を引きずるようになり、さらに左上腕部の固縮も出始める。平成8年にパーキンソン病と診断された。同9年5月よりパーキンソン病の薬l-ドーパ製剤を1日2錠飲み始めるが、症状は緩やかに進行し、徐々に薬の種類(ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬)と量(4錠、7錠/日)が増えていく。初診は同15年2月で所見はふるえ・固縮・すくみ足・動作緩慢など。鍼治療後は筋肉がほぐれ動きやすくなる。日によって体調の変動があり、良い時は動作もスムーズで一人で歩くことができ、表情も柔らかい。薬との相互作用もあるが、本人は「症状は平衡状態」と言っている。性格的に几帳面なところがあるが、コンスタントに週1回の鍼灸治療を受け、今のところ転ぶこともなく調子はいいようである。
I.Tさん 66歳女性 初診は15年5月
平成4年より右手足のふるえが始まり、パーキンソン病との診断を受ける。初診時、特に脚のふるえにより歩きにくくなるのが辛い。ほかの症状は目覚めやすい・たまにめまいがする・頭重感・疲れやすい・便秘気味、等がある。鍼灸治療としては、自律神経や循環を調整してこれらの症状を軽減させ、そして筋の固縮を和らげて歩きやすくすることを主眼に行う。薬物療法は個人差もあるが、服用年数が長くなると効く時間が短くなったり、効く程度がかるくなったり、あるいは10年以上だと効きが悪くなったりすることがある。その場合に鍼灸と組み合わせて治療を継続すれば、薬の量を維持できたり、効きを持続させたりなど、比較的よい状態を保つことができる。この方も薬が切れると振戦が強くなるが、パーキンソン病の薬が効いている間は落ち着いており、時間はかかるが自分ひとりで大体のことはできている。
K.Kさん 57歳男性 初診は平成15年6月
平成11年5月頃より左の手足にふるえが出始め、翌年9月からは右側にもふるえが見られるようになった。平成12年10月に病院でパーキンソン病との診断された。平成15年6月の初診時、歩行はそれほど問題ないが、カルテの記入文字は小字、口調も小声で単調となっておりパーキンソン病特有の症状を呈している。仕事の方はまだまだ現役で海外出張も頻繁にあり、会議でのスピーチ時などは緊張してふるえがひどくなると言う。出張で治療の間隔が開くと疲れもたまり症状が増強するが鍼灸治療を受けると「本当に身体が軽くなる」ようで毎週1回通っている。
パーキンソン病の鍼灸治療症例のまとめ
当針灸院に通院でいたパーキンソン病の患者を統計してみました。患者100名、男性53名、女性47名、中に若年性 パーキンソン・パーキンソン症候群2割がいます。年令39~78才。パーキンソン病と診断されて1ヶ月から最長10年です。3月~1年の期間に一週間一回~二回ベースで鍼灸治療をしました。中に完治する方はいませんが、進行を遅らせたり、主な症状を改善したりしました。有効率は85%以上です。薬を完全に飲まなくても症状が進んでないで済んでいる例15%前後、薬の量を減らしても症状が悪化しないで済んでいる例約30%前後、残りのかたは薬は併用しているが針灸治療を始めて動作がスムーズになったまたは薬が切れても症状がそれほど出ないという例30%となっています。
パーキンソン病の治療に考察:
パーキンソン病の鍼灸治療に来られるのは30~40代の働き盛りの方から70~80代の方までいますが、どの方も頭脳・意識レベルは一般の方と何変わりなくはっきりしているのに、自分自身の身体を思うように動かすことができない、または勝手に動いてしまうという大変辛い思いをしておられます。パーキンソン病は症状が進行すると一人で行動できないために家族に対して申し訳なく思って自分を責めたりする時もあると聞きます。パーキンソン病の治療法が確立しておらず薬物療法が主流でそれらと一生付き合うことになる、というのが現時点での実際ですが、完治することが難しくても今現在の状態を少しでも維持、継続させ前向きに生活できるようにする手段があれば、積極的に活用した方がいいと思います。多くの症例からみるとパーキンソン病の鍼灸治療は、完治するのは難しいものの、総じて良い効果をもたらすことができると思います。パーキンソン病の主症状以外の起立性低血圧(めまい・立ちくらみ)や便秘などの症状に対しても西洋薬をさらに飲んで身体の負担を余計に増やすこともなく、また副作用の心配もなく鍼灸で治療することができます。

