顔面神経麻痺の主な後遺症

顔面神経麻痺の予後は、障害の程度や範囲、病因、治療法、治療開始時期などによって様々です。臨床において最も頻度の高いBell(ベル麻痺)とRamsay hunt(ラムゼイ・ハント症候群)などの場合は、神経障害が軽度であれば、適度な治療によりほとんど後遺症を残さず回復しますが、神経障害が重度の場合はしばしば後遺症を残します。顔面神経麻痺の後遺症はさまざまありますが、主な後遺症は以下のようなものです。

病的共同運動
病的共同運動は不随意運動と言われるもので、顔面神経麻痺の後遺症のなかで最も頻度の高い症状です。元々目のまばたきの筋肉に行く神経と、口の周囲の開け閉めに使う口輪筋は根っこは同じ顔面神経ですが、口の開閉に伴い目が動くという共同運動が起こる場合です。普通の場合は顔面麻痺の発症して3~4ヶ月ころから出現します。

ワニの涙
食事に際して、多量の涙分泌されます。発症後数ヶ月経て出てくるものです。唾液腺へいく神経と涙腺にいく神経が誤って起きる現象です。「ワニの涙」とはワニは食べ物を食べると涙が出るのでこう言われます。

顔面拘縮
患側の顔面が持続的に収縮した結果です。鼻唇溝は深く、眼裂は狭小化し、安静時も顔が非対称に見える状態を顔面拘縮といいます。原因は顔面神経の再生神経数が少ないと言われています。しばしば病的共同運動を合併しています。

アブミ骨筋性耳鳴
表情筋を再生するはずの再生神経線維が誤ってアブミ骨筋を支配したために起こる現象です。目を閉じたリ、口を動かしたりとしたときにアブミ骨筋が収縮し、耳鳴や一過性難聴が生じます。

顔面痙攣(けいれん)
麻痺側の顔全体に及ぶ痙攣が起こり場合と口と眼の周りに局所痙攣が起こる場合があります。症状はそれほど強くはありませんが、後遺症として残ることがあります。後遺症として顔面痙攣の原因はまだはっきりしていません。

家庭でできるリハビリ

マッサージについて
①上下の瞼の筋肉は人差し指と中指で小さい円を描くように伸張する。
②おでこは人指し指、中指、薬指で上下に走行して伸張する。
③口角と耳を結ぶ線上にある頬全体を上下、前後、人差し指、中指で小さい円を描くように伸張する。
④唇の周囲を円形に取り巻く部分を、人差し指、中指で円を描き、左右へも伸張する。

上眼瞼挙筋を使う
後遺症の病的共同運動として、食事のたびに眼が閉じてしまいがちになるので、発症の早期から上眼瞼挙筋(動眼神経に支配され、上眼瞼を挙げたり開眼したりする筋肉)を使って眼輪筋(目の周りの筋肉)伸張を行います。話すとき、食事のときに目を見開く練習をしましょう。

注意点とリハビリの方法

急性期のリハビリ
発症して1~2か月は急性期と言います。高度の神経障害の場合は発症4か月前後に後遺症が出てくることが多いので、経過を診ているうちにリハビリをして、少しでも早いうちに軽減できないものかと思います。急性期リハビリの目標は顔面神経の迷入再生による病的共同運動と顔面拘縮の予防と軽減です。

慢性期のリハビリ
4か月過ぎてもまだ完治していない場合は慢性期と言います。病的共同運動、顔面のこわばり、筋力低下、けいれんなど様々な症状がでてくることがあります。この時期は、表情筋は動き出している時期なので、強い随意運動を避けて、軽く局部を動かす随意運動がおすすめです。たとえば、口のまわりの筋肉を動かすときに、なるべくおでこや目の筋肉を動かさないとか、逆に、おでこを動かすときに目の筋肉を動かさないようにイメージ療法を取り入れてください。

回数、時間、期間について
1日: 朝・昼、夕の3回、1回あたり 10分くらい。温かいタオルで顔を温めてから行います。強力なマッサージは避けましょう。

顔面神経障害と予後・後遺症

1度の障害:
部分麻痺(不全麻痺)とも言います。神経が圧迫され、生理的に神経の伝導がブロックされて起こる麻痺です。顔面神経の外膜に圧迫されて凹んでいます。圧迫が解除されると伝導ブロックは解除されます。3~4週間前後の治療でほとんど完全回復します。
2度の障害:
長期にわたって神経が圧迫されて、解除されません。神経の静脈がうっ血になって、完全麻痺になっている場合が多いです。正しく治療してうまくいけば完全に回復しますが、そうでないと少し後遺症が残ります。治療は1か月から3か月間かかります。
3度の障害:
神経内圧の上昇がより長期間にわたり、神経の軸索が破損した状態です。 神経の損傷がつよいので、多少顔面神経麻痺後遺症が残ります。症状が強い場合は迷入再生から病的共同運動、筋力低下などの後遺症が現れることがあります。治療は3か月~6か月間かかります。
4度・5度の障害:
高度の障害。神経が断裂した時にみられます。4度はうまくいけば少し動き出せますが、後遺症が残ります。5度は自然治癒は望めません。神経移植など外科的処置が必要になります。

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