顔面神経麻痺・スコアと評価
麻痺スコア(柳原40点法)
顔面神経麻痺の評価法
顔面神経の麻痺の程度を評価する方法は「運動評価法」または表情筋スコアとも言う。「運動評価法」は大きく分けて二つの方法がある。一つは「顔面全体の評価法」もう一つは「顔面部位評価法」であり、現在臨床で専門家達によく使われている顔面全体の評価法(House-Brackmann法)と顔面部位評価法(40点柳原法)である。検査法は簡単で短時間内に行うことができる。大まかな判定基準で、ある程度は顔面神経麻痺の臨床経過と予後に役に立つが、絶対的な判定法ではない。
40点柳原法(麻痺程度の評価法)
40点法は柳原氏が提唱した顔面神経麻痺の部位評価法(表情筋スコア)で、38点以上は正常で8点以下を完全麻痺とする。
ほぼ正常 | 部分麻痺 | 高度麻痺 | |
---|---|---|---|
安静時 | 4 | 2 | 0 |
額のしわ寄せ | 4 | 2 | 0 |
軽い閉眼 | 4 | 2 | 0 |
強閉眼 | 4 | 2 | 0 | 片目つぶり | 4 | 2 | 0 |
鼻翼を動かす | 4 | 2 | 0 |
頬をふくらす | 4 | 2 | 0 |
口笛 | 4 | 2 | 0 |
イーと歯を見せる | 4 | 2 | 0 |
口をへの字にまげる | 4 | 2 | 0 |
House-brackmann法(麻痺程度の評価法)
House-brackmann法は1955年にBot-man氏とJongkees氏によって提唱されたものである。顔面麻痺の程度を顔全体の印象から段階にわけて記載する方法。~段階に分けて評価する、は正常では完全麻痺とされている。
グレード | 安静時 | 額皺寄せ | 閉眼 | 口角運動 | 共同運動 | 拘縮 | 痙攣 | 全体的な印象 |
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正常 | 正常 | 正常 | 正常 | 正常 | なし | なし | なし | 正常 |
軽度麻痺 | 対称性緊張正常 | 軽度~正常 | 軽く閉眼可能軽度非対称 | 力を入れれば動くが軽度非対称 | なし | なし | なし | 注意して見ないとわからない |
中等度麻痺 | 対称性緊張ほぼ正常 | 軽度~高度 | 力を入れれば閉眼可能 | 非対称明瞭 | 力をいれれば動くが非対称明瞭 | 中等度 | 中等度 | 明らかな麻痺だが左右差は著明でない |
やや高度麻痺 | 非対称性緊張ほぼ正常 | 不能 | 力をいれても閉眼不可 | 力をいれても非対称明瞭 | 高度 | 高度 | 高度 | 明らかな麻痺左右差も著明 | 高度麻痺 | 非対称性口角下垂鼻唇溝消失 | 不能 | 閉眼不可能 | 力をいれてもほとんど動かず | なし | なし | なし | わずかな動きを認める程度 |
完全麻痺 | 非対称性緊張なし | 動かず | 動かず | 動かず | なし | なし | なし | 緊張の完全消失 |
house-brackmann | 40点柳原法 | 麻痺程度 |
---|---|---|
grade Ⅰ | 40 | 正常 |
grade Ⅱ | 32~38 | 軽度麻痺 |
grade Ⅲ | 24~30 | 中程度麻痺 |
grade Ⅳ | 16~22 | やや高度麻痺 | grade Ⅴ | 8~14 | 高度麻痺 |
grade Ⅵ | 0~6 | 完全麻痺 |
神経障害部位別症状
顔面神経の障害部位によって、症状や予後が違ってくる
神経障害部位別症状
顔面筋麻痺 | 味覚障害唾 液分泌障害 | アブミ骨筋 反射障害 | 涙分泌障害 | |
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A:核性 | + | - | + | - |
B:膝上性 | + | + | + | + |
C:膝性 | + | + | + | + |
D:膝下性 | + | + | + | + |
E:アブミ骨筋神経下 | + | + | - | - |
F:鼓索神経下 | + | - | - | - |